第二章 「キラーハウス」 |
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彼を形作るのは、岩塊のような拳と、鋼鉄のごとき体。 古強者が目を開く。 |
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三週間の時が経った。 俺たちは、とりあえずは平和にやっている。 |
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ここでの生活は割と楽しい。 勿論、仕事も含めてだ。 |
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日雇いの仕事にしちゃ、破格だった。 七日護衛を勤めてその額ってんなら、納得も行くが。 |
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迷子になりそうな白い闇の中、鋼鉄を手にしたものたちが蠢く。 |
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十六ビートの伴奏と、火を噴く黒いパーカッション。 殺人鬼は笑う。トリガーに指をかけて。 |
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絢爛豪華な刃の楽章と、宙に描かれる銀の軌跡。 殺人狂は笑う。ブレードに手を添えて。 |
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それは、誰も聞く事のない影の会話。 | |
敵が来る。 殺すための銀の腕を煌かせて、静かな足音でにじり寄ってくる…… |
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渡された損害は引導を持って返すべきだ。 では、対等な戦争を始めよう。 |
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化け物と呼ばれるための必要条件を、彼は確かに備えていた。 | |
身に纏うのは死の匂い 刃と火薬と血と硝煙と その他のきな臭い何もかも 濯げない身を矢のように 殺し屋どもが殺し合う |
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彼女がこぼした何時かの在り処。 圧倒的な敵を前に、殺人姫は叫びを上げる。 |
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歯車は動き出していた。 恐らくは、既に取り返しのつかないところまで。 |
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